中国に情報を渡していたカナダ人にスパイ容疑

カナダ最大の造船会社Irving Shipbuildingの下請けLloyd’s Register Canada Ltd.で働いていたカナダ人が、中国に機密情報を渡していたとの容疑で、この度逮捕された。

Canadian Accused of Trying to Pass Ship Secrets to China (CBC)

記事によると、逮捕されたHuang容疑者の働いていたLloyd’s Registerは、Irving Shipbuildingが造船する船のデザインの査定&承認を行う仕事をしており、Irving Shipbuildingは、カナダ軍向けの船を作っている。Irving Shipbuildingがこれから着手しようとしている船には、カナダの北極圏をパトロールする船も含まれているとのこと。

Lloyd’s Registerでの仕事で得た、Irving Shipbuildingの造船や調達戦略に関わる情報を、中国に流していた、というのが今回の容疑。

但し、12月2日付のCBCによるこの記事では、前述の北極圏パトロール船に関する情報は漏れていない、とIrving Shipbuildingがコメントしているとのこと。このHuang容疑者は、機密情報にアクセスできる程の権限はなかったと。

中国側はやっぱり、この北極圏向けの船の情報を狙っていたのかな。

Arctic Circleとは

Arctic Councilのobserverに日本がなれた、というニュースの影に、Arctic Circleという新しいフォーラムの設立が。

正式な最初の会合は2013年10月、アイスランドのレイキャビクで、とのことだけど、とりあえず現時点でわかっていることは、Arctic Councilとは違って、必ずしも国家主体のフォーラムではなく、もっと開かれた非営利団体である(を目指す)ということ。Arctic Councilでは自分達の声が充分に反映されていないと感じる先住民団体や、企業の人、研究者、他の非営利団体等も参加可能とのこと。

Reutersのこの記事によると、中国、インド、シンガポールは参加しそう。

このフォーラムの設立を発表した、フォーラムの名誉役員でもあるアイスランドのGrimsson大統領によると、Arctic Councilの設立によって、Arctic Councilでは中心ではないその他のプレイヤーにも、北極圏にまつわる問題について議論に参加できる場ができる、とのこと。

名誉役員にモナコの王子がいて何か面白い。

とりあえず10月以降に要注目。

Stockholm Arctic Seminar “Asian Arctic expansion?”にて日本の北極政策に関するプレゼン

Stockholm Arctic Seminar “Asian Arctic Expansion?”というセミナーが、2月19日に開かれていたらしい。アジアの国々がどう変わりゆく北極に関わってくるか・関わりたいかについてフォーカスした模様。

そこで、U. of CopenhagenのDr. Aki Tonamiが、”Japan’s Arctic Policy: The sum of many parts”というタイトルで、日本の北極政策についてのまとめをプレゼンしたらしく、動画がアップロードされている。全然国としての政策はまとまっていないけど、こういう省庁や団体がそれぞれこういう事した・している、といった内容が綺麗にまとめられている。

ちなみに、中国や韓国の北極に対する姿勢についても、それぞれの発表の内容が同じページにアリ。

こうして、non-Arctic statesの政策、狙い、期待できる北極への貢献なんかが1つのテーマとしてセミナーで取り上げられる場があったというのは良いことかと。しかもアジアで行われたのではなく、スウェーデンで。

安部首相が北極圏安全保障議員連盟なるものの会長をやっているとは知らなかった。期待できるのかな?

北極圏をにらむ「よそ者」達について

The Economistに、”Outsiders in the Arctic: the Roar of Ice Cracking“という記事が。

内容は、北極圏周辺国以外の国も、北極に起きている変化に対して行動を起こしている、というもの。もちろんここでメインに語られているのは中国。

記事では、日本含むnon-Arctic states=北極圏周辺国じゃない「よそ者」国たちは、国際ルールに沿った参加を希望しているし、北極圏の安定性を脅かそうとしているわけではない、としている。けど、結果として、地域全体に大きな影響を与える可能性あり、と締めくくっている。

シンガポールまでArctic Councilのpermanent observer statusを申請しているなんて知らなかった。

Arctic Frontiers 2013には日本不在

1月20日から25日まで、Arctic Frontiersという団体によるArctic Frontiers 2013 – Geopolitics and Marine Production in a Changing Arcticという会議が、ノルウェイのTromsøにて開催された。

プログラムを見るとわかる通り、21日は全日、あちこちの国(主に北極圏に近い国)の外務大臣などが順に話をしたのだけど、ノルウェイ、カナダ、ロシア、米国(アラスカ)からなどのスピーカーに混じって、在ノルウェイ中国大使と在ノルウェイ韓国大使もスピーカーとして参加している。

Foreign Policy Blogsで北極関連のブログを書いているMia Bennettからのこの日の報告によると、両国の代表とも、それぞれの国にとっていかに北極で起きている変化が重要であるか、そして何故、中国/韓国が北極問題に積極的に関わるべきなのか、といったことを述べたらしい。中国大使は、中国を”near-Arctic state”と表したとも。

中国はアイスランドに、韓国はノルウェイに、といった具合に、どちらも積極的に北極圏へお近づきになろうとしているので、両国の代表がここでスピーカーとして参加しているのは何ら不思議ではないけど、さて、日本は?

日本からは、2011年に海洋政策研究財団 (OPRF)会長の秋山氏がスピーカーとして参加したが、その後は日本からのスピーカーはなし。

3ヶ国とも、Arctic Councilへのobserverステータスを狙っているけど、そのために政府をあげて積極的に行動しているのは、中国・韓国だけの模様。